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“捨てる技!”こそソリテュード効果を高める

『孤独力 人間を成熟させる「ひとりの時間」』講談社

孤独力 人間を成熟させる「ひとりの時間」 表紙

【執筆こぼれ話】

ソリテュード(積極的孤独)の効用、特に人間関係のストレスを軽減する効用はわかってはいても、その時空間を捻出するにはなかなか勇気がいるものです。

そんな方には、今一度「捨てる!」という観点で行動を見直してみてはいかがでしょうか?FAXからe-mailの時代、MIXIに慣れたかと思ったら、あっという間のツイッター・ブーム。「そんなものは関係ない」と決心しても、指はついつい電子機器の上。さらに仕事か社交か区別のつかない会合になんとなく出席しているということは意外と多いもの。
そこで「捨てる」ものは何でしょうか?
「捨てる」ということは「何がいるか」と考える機会を与えてくれる。

「人間関係が……」と切り出したとたん、それを聞いた相手は共感をもって「わかるなぁ」という顔つきをしてくれます。本、雑誌でも目新しいテーマでないにもかかわらず「人間関係」に関する特集はよく読まれているそうです。占いなども総動員で、何とかストレスのない人間関係を手にいれようとします。

誰でも子ども時代から一度ならず、何度もそのディストレスに参ったことがあると思います。それが良好であれば「今の仕事はどうですか?」という質問に対して「人間関係がよいので楽しく仕事をしています」という回答も理にかなったもののように思えます。人間関係とは、それほどわたくしたちの心身を直撃するものなのです。

その関係が悪くストレスが高まると、ついには人前に出ることができなくなることもあります。そうして引きこもっていると、安心感に包まれてきます。しかししだいに自分の周りを安全に包んでくれている薄い膜を破られたくなくて、人前に出られなくなるという悪循環に取り込まれてしまうのです。わたくし自身体験したことです。

そもそも、初めから人間が嫌いで、人付き合いにストレスを感じるという人は少ないのではないでしょうか。むしろ、少しでも有効な対人関係を築きたいと必要以上に自分の感情を押し殺し、相手に合わせようとすることで無理を重ね、ストレス感を強めていくのではないでしょうか、これは、第三章で触れた「みんなでいっしょに」という刷り込みにも原因の一端があります。

そこで、自分の素を知り、その性格、趣味、美意識などをどこまで他者に合わすことができるかということを考えることが重要になってきます。よく「自分をたいせつに」ということを若者への言葉として耳にしますが、これは大変難しいことだと思います。なぜならば、そのためには、「たいせつにする自分」とは何か、言い換えれば「譲れない一線(美意識)」とはどういうことかということを生きる指針として自覚していないとできないからです。

それを知ることは、人間関係に押しつぶされそうになっている状況の繰り返しの中では無理です。いっとき勇気をもって不義理をし、ひとりでいる時間を確保しなければ何も変わりません。これを「建設的不義理プロジェクト」と名付け、わたくしは実践しています。

どこに行っても輪の中心となる、人に誘われるといつも応じるという自他ともに認める社交的な人は、以下の方法をお勧めします。

  1. 名刺を捨てるたまりすぎた名刺の束を半年に一回、10分の1に整理。
  2. 携帯番号を変える定期的に携帯の番号を変えてみましょう。
    その際携帯に記憶させている電話番号は移しません。
  3. パソコンのメールアドレス削除間違えて削除してしまった「フリ」を自分自身にして一気に削除。
  4. 勉強会、会合に出ないそれまでの頻度にもよりますが、一ヶ月間、一切集まりには出ません。
  5. 虚礼廃止あなたは、どれだけ冠婚葬祭に心をこめて参加していますか。
  6. 社交的「群れ」から離れるほんの2、3週間でよいのです。
    「いっしょの」ランチ、食事、イベントを逃げ切ってみてください。

かなりドラスティックな作業をしなければ、「建設的不義理プロジェクト」に着手することはできません。そういう意味で方法論を思慮するより、勇気と決断が重要です。行動あるのみです。しかし、結果的にこれほど、自分への必要な気づきを簡単に得られる方法はないと思います。前述のソリテュードの[活性法1]で「何を必要としているか」という問いの回答は明確に出ます。この変革に直面できたあなたは、後述する「最少努力で、最大効果」を上げることができるでしょう。

こんな話を伺いました。出版社勤務のCさんは、年末に年賀状の整理をしていました。翌年に出すデータ作成のためです。するとなんと500通のうち絶対不可欠という年賀状は30通にすぎないのです。Cさんいわく、
「いかに今まで自分が何も考えずに、顔もよく覚えていない人に機械的に送っていたかがわかった。1年に1度のことであれば、なおさら心をこめなければいけないのに、仕事のためという言い訳で、ろくに名刺の整理もしていなかったから。でもこの30通だけは感謝をこめて手書きで出したい」

みなさんも、紙、時間、心の資源の無駄使いをしていないでしょうか?

しかも、このプロセスが上手くいった人の副産物として、前よりももっと人が好きになるということがあります。なぜならば、「譲歩する自分」と「譲れない自分」を明確に切り盛りし、その中で真摯に相手を感じる関係はディストレスではなくユーストレスを生み出し、相手を思いやる創造性も高まるからです。

現代小説の創始者といわれる19世紀フランスの文豪、バルザックもつぎの言葉からそんなパワーを体験した人ではないでしょうか。

「孤独はいいものだということをわれわれは認めざるを得ない。しかし、孤独はいいものだと話し合うことができる相手をもつことは1つの喜びである」

ソリテュード・タイムにおいて自己と対話をした後、自分と相手が違うということをもっと肯定的にとらえていくことができます。そして、自分の主張がとおらない場合でも、淡々と相手に接することにより、ストレス・フリーでいられるのです。そこには、今迄とは違った対人関係が生まれ、その副産物として相手への思いやりや、いとおしさを生み出します。恋愛もそのような、自分らしさの中で関係が築かれるといいですね。

by @kazumiryu

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