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「孤独学」で個の重視学ぶ

ひとりの力 自分を磨く

讀賣新聞 2005年1月29日掲載

【取材こぼれ話】

創造学園大学客員教授に就任したのは2004年の開校当初より4年間である。

そこで週に一回「孤独学」ゼミを担当した。記事にもあるように一番人気となり、ゼミ概要を読み興味をもった学生がたくさん講堂に集まり、意外な驚きとうれしさを感じたことが記憶にある。当時最初の授業で必ずした「“孤独”にどんなイメージをもつか」という問いに対して「ネガティブ、暗い」と挙手した人数も4年を経る中で、毎年新しい学生たちに聞くと次第にポジティブイメージ優勢に転じていった。それこそが「無意識の集合意識=時代の要求」だったと考えている。

ゼミを通して学生たちに共通してもったのは「考える力と表現力の弱さ」であった。何かを表現したくても、どんな切り口でどのようにしたらよいのか分らないという。それを突き詰めていくと、ひとりの時間の効用を活用していないということにあった。ハイテクを駆使する術をもつ彼らにとって、情報を精査し熟考する時空間は未知の領域であるようだ。その彼らがゼミでソリテュードのメカニズムを知ることは、まず「ひとりでも良い」ことを確信し、その後ストレスなく人と付き合える入口となった様だ。いつか、どこかで人生の資質のドラスティックな変化を求められた時「ソリテュード」を思い出してくれたら教師冥利につきる。そんな誰でもがもつソリテュード(積極的孤独)のスイッチを押すことが私のわくわくの源である。

「皆さんは、孤独という言葉にどんなイメージを持っていますか」

昨年四月に開学した群馬県高崎市の創造学園大学の教室で、客員教授の津田和壽澄さんの声が響いた。

集まった学生約三十人は「寂しい」「見捨てられた感じ」「暗い」とそれぞれのイメージを口にした。芸術学科一年の長谷川瞳さん(19)もその一人だった。

「消極的な見方が大半ですが、実は孤独は人の成長に欠かせない大切な要素でもあるんですよ」

ゼミ紹介のガイダンス。初めて聞く考え方に長谷川さんは驚いた。「孤独学」との出会いだった。

「気に入らないことがあると、泣いたり怒ったりしてしまう」。そんな子供だった長谷川さんは、幼い時から周囲と衝突することが多かった。小学校時代からいじめを受け、中学校では修学旅行のグループ分けに入れてもらえないなどの体験も味わった。そこで感じた「孤独」は惨めで寂しく、記憶から消してしまいたいものだった。

それだけに、ガイダンスで聞いた説明は新鮮でもあった。

身についたプラス思考

組織を重んじ、強調を求める日本では「孤独」に対し、「仲間がいない」など、否定的なとらえ方をするのが一般的だ。しかし、個を重視する欧米では、孤独に対する考え方が多様で、表現する言葉も異なる。

消極的な孤独は「ロンリネス」、自ら進んで一人を楽しむ積極的な孤独は「ソリテュード」と呼ぶ。孤独学では、こうした日米の意識の違いやロンリネスがソリテュードに変化する過程などを、心理学や社会学の観点から学び、「ひとり」の意味を問い直していく。

授業を受けるにつれ、あれほどつらいものと感じた長谷川さんの孤独に対するイメージは変わっていた。

「いじめられ、孤独だったころの自分に、『ひとりでいることは、悪いことでも、惨めなことでもない』と教えてくれる人がいたら、もっと早く心が楽になれたと思う」

漫画コース専攻の長谷川さんの夢はアニメのキャラクターのデザインだ。大学のだれもいない教室で物語の構成を考えたり、一人暮らしのアパートでキャラクターを描くことに没頭したり。ひとりの充実した時間が流れていたことに、ふと気づく。

讀賣新聞

仲間と一緒にいる時も「ひとりになりたい」と感じたら、一言断り、潔くその場を離れ、ひとりの時間を優先させる。

「無理をしてみんなの中にいるよりも、自分を大切にしたい。でもその分、友人達と過ごす時間も大切にしたいと思えるようになった」

一番人気のゼミ

創造学園大学の「孤独学」ゼミは当初、一年生(二百八十人)の五人に一人が受講を希望し“一番人気”の講座となった。津田さんは「親の共働きや一人っ子の増加などの影響で、幼い時から孤独を強いられてきた世代。孤独の意味をとらえ直したかったのではないか」とみる。


by @kazumiryu

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