弥生三月♪桜舞う袋帯~後篇?~
2010-03-05 13:12:55
カテゴリー kimono
きょうは、4月の陽気だという。
陽射しは暖かく公園にいくと、うさぎまで散歩に繰り出している。
【写真1】漆黒の毛が美しいネザーランド・ラビットはしっかりリード付き
弾む心で「こんな日は桜の帯びより!」と思い立って銀座へ。
ちょうど、すずらん通りの呉服店「えり善」で紬展が開催中。
黄八丈の山下八百子さんの作品も展示されているとのことなので、彼女の作品に桜の帯をしめる。
その途中銀座4丁目交差点「和光」のウィンドー・ディスプレイーのきものに目がとまる。
誘われるように、6Fの展示会場に行ってみる。
足を踏み入れ、会場を包む柔らかく繊細な風情に息をのむ。そっと近付くとその淡い色合いのぼかし(グラデーション)に金箔がさりげなくちっている。しかも、所々ににフレンチ・ノット(さがら刺繍)の刺繍がほどこされている。
思わず、裏まで覗きこむ。どれもこれも淡く、その儚げな色淡いは「幽玄」というよりも「生気」ある美。
ふだん、あるいは本質はどうあれ(笑)「女として生まれてきてよかった」と思わせるような作品ばかり。
そんな中、さきほどから何となく後方に人の気配が…
すると声をかけてきた銀髪の紳士が「いやぁ、あんまりすきっと着物をきてはるから、ついつい付いてまわってしまいました。色の配色も素晴らしい…わたしは他の方の作品であっても良いものはよいと認めますよ」と。
褒められて育つタイプ(笑)としては、思わず木の高みまでのぼりつつ
「ありがとうございます。お天気に誘われてつい誘われて…」などと、手持ちの他の写真なども厚かましくお見せしながら「この着物は…」などと言葉をかわしていると係りの方が
「こちらが、この作品をおつくりになられた先生で」と。
ますます、楽しくなり色々とお話を交わす。
「…帯は締めるという理性の作業で、きものは纏うという情なんですよ…”絶滅品種”?それはいってほしくないですなぁ」
「365日毎日きているのは、ほぼ絶滅危惧種分類です。ですから絶滅しないようにみんなできものを日常のとりいれましょうという活動をしているんです」
「きものは余白ですからね。デザインも”間”、しゃべるのも”間”。最近はそこのとこが理解されていないですなぁ。西洋の美は余白恐怖症ともいえますなぁ。建物みても天井も、壁も絵があって、絨毯もすごくて…わたしが刺繍を全部にほどこさないのは、余白を委ねているんです。最初は染めもなかなか気にいるのがみつからず、結局自分で染めることになったりして、箔も刺繍も何となく自分でやり始めて」
「えっ、刺繍もご自身で!」と無邪気に感激した私でしたが、
実は、福田喜重氏は染色・刺繍、箔をなさり「刺繍」では重無形文化財保持者(Living National Trasureという英語表記がなんだかすごい)だったと知ったのは帰宅後でした。
それにしても、きょうの「余白の時間=ソリテュード」により
また素晴らしい方に出会えたわくわくは宝物となりました。
みなさんも、13日までの作品展(販売も)に足を運んで非日常をお楽しみください。